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冬の探偵日誌 総集編2

調査の再開


雨が降る早朝、探偵の調査は再び始まった。対象者の行動を把握するため、始発の時間に合わせた張り込みだ。他に適切な張り込み場所がないか、探偵は周囲の様子を観察していた。静けさを打ち破るのは雨音だけ。だが、思いもよらない出来事がこの日を特別なものに変えた。


小走りの足音が遠くから聞こえてきたのだ。探偵は不審に思い、音のする方向へ目をやる。すると――裸で禿げた外国人男性が、まるでオリンピック選手のようなスピードでこちらへ向かって走ってくるではないか。


「……なんだ、あれは?」


驚きのあまり声も出ない。男性は一糸まとわぬ姿で、揺れる一物すら気にせずに走り抜けていった。その様子はまるで幻想的な何かを見るようで、探偵は一瞬、現実感を失った。しかし、調査に集中しなければならない。裸の男を追うことは諦め、警察に通報することもなく、予定通り張り込みを続行することにした。


午前5時過ぎ、クライアントから対象者が家を出たとの連絡が入った。探偵は駅へ向かう対象者を確認した。対象者は電車に乗り、前回と同じ駅で降車。今回もまた漫画喫茶に入っていった。


「やっぱり今回も漫画喫茶か……」


クライアントに報告すると、「変質者の噂も聞いたことがない」との返答だった。探偵は苦笑いを浮かべつつも、この奇妙な話が一日を占める話題にならないことを祈った。


漫画喫茶での滞在は昼近くまで続いた。店から出てきた対象者は、その足で都心の繁華街へと向かった。土曜の繁華街は人で溢れ返っており、尾行する探偵にとっては見失う危険が大きい。だが、慣れた足取りで慎重に距離を取りながら追跡を続けた。対象者が向かったのは繁華街の一角にある古びた喫茶店だった。外観はレトロな雰囲気で、観光地化されたこの街並みの中ではやや異質だ。対象者は店内に入ると、奥の席へと案内されたようだ。


探偵は入店のタイミングを伺い、客として店内へ入った。コーヒーを注文し、対象者を遠巻きに観察する。すると、数十分後、一人の女性が入店してきた。40代半ばの女性が店に入ってきた。彼女は控えめな化粧をしており、目立つタイプではない。だが、対象者が立ち上がり、笑顔で彼女を迎えるた。


二人は親密そうに会話を始める。その表情からは、ただのビジネスの話ではなく、プライベートなやり取りであることが窺える。探偵は二人の様子を観察しながら、慎重にその動きを記録した。しかし、周囲の喧騒と店の音楽が邪魔をして、会話の具体的な内容を聞き取ることはできない。


「一体、何を話しているんだ?」


浮気の証拠を掴むためには、もう少し情報が必要だ。だが、喫茶店内での調査には限界がある。これ以上は無理に近づくわけにもいかない。1時間ほどで、二人は席を立ち、喫茶店を後にした。探偵は少し遅れて店を出て尾行を続ける。喫茶店を出て向かった先は繁華街の中心にあるビルの中の映画館 。

これで2時間は出てこない。


映画館から出てきた二人は、周囲に溶け込むように繁華街を歩き始めた。探偵は適度な距離を保ちつつ尾行を続ける。上映終了後の映画館周辺は混雑しており、二人を見失う危険もあったが、彼らの動きは比較的ゆっくりしていた。


探偵の目には、二人の関係性がどうにも不自然に映った。会話は弾んでいるように見えるが、女性の態度には一定の壁がある。対象者が軽いスキンシップを試みるたびに、女性はさりげなくそれを避ける仕草を見せる。その仕草には、親密さを見せつつも一線を越えたくない、微妙な緊張感が漂っていた。


「これは浮気相手というより、(出会い系とかで)知り合って間もない相手かもしれないな……」と探偵は推測した。


その後、二人は最寄り駅へと向かった。駅構内に入り、改札前で立ち止まる。探偵の予想通り、ここで二人は別れの挨拶を交わす。女性が笑顔で手を振ると、対象者も軽く手を上げ、二人はそれぞれ別の方向へと歩き出した。


「さて、どちらを追うべきか……」


・・・

・・・

・・・


探偵は一瞬、女性を尾行するか悩んだが、現時点では浮気相手との確証がないことから対象者の尾行を優先することに決めた。女性の後を追って自宅を割り出すことも可能ではあったが、それは確たる証拠が掴めてからでも遅くはない。対象者はそのまま駅のホームに向かい、自宅方面の電車に乗り込んだ。探偵もそれに続き、同じ車両の隅に腰を下ろす。「今日はこのまま自宅へ戻るつもりか……?」と探偵は考えつつ、クライアントに状況を報告した。


クライアントからは「キリのいいところで調査を終了してほしい」との指示があった。


対象者が何か別の動きを見せれば話は別だが、このまま帰宅するだけならば今日の調査はここで終わるだろう。電車が数駅進むと、対象者は座席に深く身を沈め、徐々に目を閉じていった。探偵は目を細め、注意深くその様子を観察する。


「まさか寝るんじゃないだろうな……?」


だが、その予感は的中した。対象者は完全に眠りに落ちたらしく、起きる気配がない。この電車では自宅の最寄り駅に行くには手前の駅で乗り換える必要があるが、対象者は気付かずにそのまま違う路線へと向かってしまった。探偵はしばらく様子を見たが、対象者が起きる兆しがないため、クライアントに報告を入れた。


「対象者が電車で寝ていて、違う路線に向かっています。どうしますか?」


クライアントからは「放っておいて大丈夫です。おそらく1時間後には帰宅します」との返答が返ってきた。

探偵は内心苦笑した。「せっかくの調査も、これでは肩透かしだな……」と思いながら、電車を降りた。乗り過ごして違う路線へ向かう対象者を追う必要はない。今日の調査はこれで終了だ。


探偵は自分の記録メモに詳細を書き込みながら、自宅への帰路についた。浮気調査は慎重さと観察力を求められる仕事だが、こうした滑稽な出来事に遭遇することも少なくない。


「まあ、こんな日もあるさ」と思いつつ、探偵は次回の調査に向けて頭を切り替えるのだった。


今回の尾行は決定的な証拠を掴むには至らなかったが、対象者の行動パターンや人間関係の一端が垣間見えたことは成果だ。特に女性との関係性については、今後の調査でさらに深掘りする価値があるだろう。


探偵は車のエンジンをかけ、小雨が降り続く夜の街を後にした。次の調査では、何か新たな展開が待っているかもしれない。








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