冬の探偵日誌 総集編3
- k-tantei
- 3月18日
- 読了時間: 9分
日曜日
日曜日の朝、探偵はまた張り込みを開始した。昨日と同じように、対象者は「出勤する」ふりをして早朝に家を出た。向かった先は、いつもの漫画喫茶。これはもう確実にパターン化している。
対象者は昼過ぎに漫画喫茶を出た。そして向かった先は、調査初日に訪れたあのマンションだった。
「さて、今日は何か新しい動きがあるのか……?」
探偵は慎重に尾行を続けた。
マンションの前で張り込みを続けること約一時間、ついに対象者が出てきた。
だが、その瞬間、探偵の直感が違和感を覚えた。
数秒前に、一人の女性がマンションから出てきたのだ。
二人は会話を交わすこともなく、まるで他人のように別々の方向へと歩き出す。
「……?」
これが偶然なのか、それとも意図的な行動なのか、探偵は判断に迷った。
だが、対象者が一旦マンションを出た後、近くのコンビニへ向かい、買い物を済ませた後に再びマンションへ戻っていったことで、探偵の中で一つの仮説が生まれた。
「この女性と対象者は、部屋の中で会っていたのか……?」
しかし、確証を得るにはまだ情報が足りない。
対象者はマンション内で約二時間過ごした後、再び出てきた。
「今度こそ帰宅するのか?」
探偵はそう思ったが、対象者は最寄り駅へ向かい、電車に乗り込んだ。
しかし、意外にも二つ隣の駅で降車した。
この駅の周辺には、大型のデパートやショッピングモールが立ち並ぶ。
「さて、何をするつもりだ?」
探偵がその行動を見守っていると、対象者はデパートの前で立ち止まり、何者かを待っているようだった。
「まさか……昨日の映画館の女性か?」
探偵は興味を持って観察を続けた。
すると、現れたのは、先ほどマンションから出てきた女性だった。
「なるほど、そういうことか」
この二人は確実に繋がっている。
だが、彼らは特に警戒する様子もなく、ごく自然に会い、何気ない会話を交わした後、そのままデパートの中へと消えていった。
「めんどくせぇ……」
探偵は心の中で思わず呟いた。
ショッピングデートほど尾行が面倒なものはない。
デートスポットのように広い公園なら、尾行者は距離を保ちつつ、目立たないように行動できる。だが、デパート内のような狭い空間ではそうはいかない。
対象者たちは、気の向くままに動く。
商品を眺めては立ち止まり、別のフロアへ移動し、また戻ってくる。
探偵も客のふりをしながら尾行を続けるが、対象者たちも商品棚に隠れてしまうことがあり、その瞬間に見失う危険がある。
さらに、狭い店内では、探偵自身が対象者の視界に入る可能性も高くなる。
「尾行の難易度が上がるな……」
対象者たちは約二時間にわたって、あちこちの店を回り、試着をしながら買い物を楽しんでいた。だが、結局のところ、何も買わずに手ぶらで店を後にした。
「試着だけかよ……」
探偵は思わず苦笑した。
買い物を終えた二人は、同じデパート内にあるレストランへ入り、食事をとった。
探偵は店の外で張り込みながら、尾行を続ける。
約一時間後、二人は食事を終えて店を出た。
そのままデパートを後にし、電車へと乗り込む。
このまま別れるのか、それとも——
探偵の予想通り、二人はそのままマンションへ向かった。
これは決定的な証拠になるかもしれない。
探偵は慎重に距離を保ちつつ、マンションの入り口を見守る。
対象者と女性はそのまま建物の中へ入っていった。
「よし……これで宿泊すれば、証拠として十分だ」
探偵はクライアントへ連絡し、現状を報告した。
ところが、事態は予想外の方向へ進んだ。
二人がマンションへ入ってから、わずか三十分後——
対象者が一人で出てきたのだ。
「えっ?」
探偵は思わず目を疑った。
宿泊すると思っていたのに、たった三十分で帰宅するのか?
対象者はそのまま駅へ向かい、自宅方面の電車に乗り込んだ。
探偵は最後まで尾行を続け、対象者が最寄り駅で改札を抜けるのを確認した。
これで本日の調査は終了である。
クライアントに最終報告を入れると、
「女性の顔が確認できたことで、少し調査が進みましたね」
と、僅かながらも成果を喜んでいた。
「だが、まだ決定的な証拠ではないな……」
探偵は帰りの電車に揺られながら、次の展開を予想するのだった。
土曜日
冬の訪れが間近に迫った土曜日の朝。冷たい空気が街を包み、探偵の息は白く曇る。
対象者の行動パターンはもう把握済みだった。朝早く家を出て、満喫へ向かう。それが彼の「出勤」ルーティンだった。
探偵はカイロを片手に忍ばせ、じっと待つ。こうして立ち続けることに慣れているとはいえ、寒さがじわじわと身体に染みてくる。
「さて、今日はどんな展開になるかな」
約四時間後、昼過ぎになってようやく対象者が満喫から姿を現した。探偵は気を引き締め、尾行を開始する。
対象者は電車に乗り、女性のマンション方面へ向かった。
しかし、最寄り駅まで行かずに、二つ手前の駅で降りる。
「ここか……」
この駅は、前回のデートの待ち合わせ場所だった。
探偵の予想通り、対象者はショッピングモールの出入り口で立ち止まり、しばらくすると女性が現れた。
そして、二人はそのままモールへ入っていった。
ここで、はっきりと手を繋いだ姿を確認することができた。
「これは証拠になるな」
探偵は慎重にカメラを構え、決定的な瞬間を撮影した。
対象者は女性と手をつないでいる これも重要な浮気の証拠だ 。
おそらく今回はラブホテルの出入りはない。
女性のマンションでの宿泊 自宅への宿泊はラブホテルへ行った場合と違い浮気の証拠能力が低い 。
その為、恋人のような関係が見られると浮気の証拠の補完になる。
二人はエスカレーターで上へと上がり、最上階にある映画館に入った。
「また映画か……」
上映時間から逆算すると、おそらくこの映画だろう。
探偵は映画館のフロアで待機する。
こうなると、やることは何もない。ただ、じっと出てくるのを待つだけだ。
約二時間後、二人は映画館から出てきた。
笑顔で会話を交わしながら、ショッピングへと向かう。
ショッピングモール内を歩き回る二人。
女性は小物をいくつか購入したが、対象者が支払う様子はなかった。
「奢らないのか……?」
多少気になったが、浮気の証拠としては重要ではない。
その後、二人は飲食店へ入り、ディナーを楽しむ。
「はいはい、お決まりのコースね」
探偵は疲れを感じつつも、黙々と尾行を続けた。
食事を終えた後、すぐにマンションへ向かうかと思いきや、カフェにも立ち寄る。
ここでさらに一時間。
探偵の忍耐力が試される時間が続いた。
21時過ぎ、ようやく二人はマンションへ入った。
しかし、ここで気を抜くわけにはいかない。
前回のように短時間で出てくる可能性もある。
探偵はマンションの出入り口を見張りつつ、時間を潰した。
1時間、2時間——
それでも対象者は出てこない。
「これは……泊まりそうだな」
すると、そのタイミングでクライアントから連絡が入る。
「対象者から『仕事でトラブルが起きたので今日は帰宅できない』と連絡がありました」
「なるほど」
やはり、宿泊するつもりだったのだ。
ここまできたら、あとは対象者が出てくる瞬間を捉えれば、証拠はほぼ揃う。
探偵は車を用意し、待機態勢に入った。
「さて、いつ出てくるかな……」
マンションの前での長い夜が始まる。
仮眠を取ろうにも、気が張って眠ることができない。
相棒と交代で短時間の仮眠を取りながら、出てくるのを待つ。
しかし、対象者はなかなか姿を現さない。
寒さと睡魔との戦いが続く。
気がつけば、夜が明けていた。
「やれやれ……」
それでも、対象者は出てこない。
このまま昼を迎え、さらに時間が過ぎていく。
探偵は精力剤を取りながら、ひたすら耐えた。
そして——
ようやく対象者が出てきたのは、夕方近くの16時だった。
もうすぐ日が暮れる・・・
長時間の張り込みの末、ようやく対象者がマンションから出てきた。
しかも、今回は女性と一緒だ。
これで、二人がマンションで一晩を共に過ごしたことが証明された。
探偵は慎重にカメラを構え、決定的な写真を撮る。
「よし、これで証拠は揃ったな」
二人はそのまま街へと消えていった。
探偵は大きく息を吐きながら、疲れた身体を引きずるように帰路についた。
35時間に及ぶ調査は、ようやく幕を閉じたのだった。
調査が終了した夜、探偵はクライアントに報告を行った。
「ありがとうございました。長い時間の調査、本当にお疲れ様です。」
安堵の声を漏らすクライアントの言葉に、探偵もようやく肩の力を抜く。
この浮気調査は3ヶ月弱に及び、合計調査時間は100時間を超えた。
探偵としても、ここまでの長丁場は珍しい。
証拠は揃った。
決定的な写真、マンションでの宿泊、手をつないでデートをする姿、そして相手女性との親密な関係を裏付ける証拠の数々——。
浮気の清算
探偵は報告書を作成し、それをクライアントに手渡した。
「これで、対象者が言い逃れすることはできません。」
クライアントは報告書をじっと見つめると、大きく息をついた。
「これを持って、一度話し合いをしてみます。」
探偵の仕事はここで終わる。あとは、クライアントがどのような決断を下すかに委ねられる。
数日後、クライアントから再び連絡が入った。
「話し合いが思ったよりもスムーズに進みました」
対象者は全面的に浮気を認め、洗いざらい白状したという。
「実は、浮気相手は彼が既婚者だと知らなかったみたいで……」
対象者は相手女性に対し、自分は独身だと偽っていたのだ。
「慰謝料も探偵費用も全額払うから、相手の女性には何もしないで欲しいと土下座してきました。」
クライアントの目的は、あくまで真実を知ることだった。浮気相手の女性を責めるつもりはなかったのだろう。
クライアントは冷静に条件を提示した。
「慰謝料1000万円と、自宅の一軒家を私に譲ること。それが離婚の条件です。」
対象者はしばらく沈黙した後、力なく頷いた。
「……わかった」
こうして、すべての決着がついた。
探偵にとっても、この案件は一つの区切りとなる。
100時間を超える調査、長時間の張り込み、決定的な証拠の確保——。
そのすべてが、この瞬間に結実したのだった。
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